ガリ版で文字を印刷する方法を紹介します。昭和24年発行の「謄写印刷初等教本」を参考に、私なりに実践し、生み出した方法です。
この教本は全編ガリ版印刷です。ガリ版の製版の方法や道具のメンテナンスについて学ぶことができるオススメの本です。
私はヤフオクで700円くらいでゲットしました!

◆準備編~文字を彫る道具~◆
①ロウ原紙

マス目の入ったロウ原紙を使います。小文字用のものや少し大き目の文字用のものなどいろいろな種類があります。
②鉄ヤスリ

文字の大きさによって使う鉄やすりの種類が変わります。
小文字(~12pt)→XCまたは方C
中~大文字(13pt~)→XBまたは方B
BよりもCのほうが細かく溝が彫られています。小文字は細かい溝のヤスリを使った方がキレイに製版できます。

ヤスリの種類は上図のように端っこに小さく彫られています。こちらはXBの鉄やすりですね。
③鉄筆
文字の大きさに合わせて鉄筆を選びます。
私は~8pt テーパレス鉄筆の細いほう
9pt~ テーパレス鉄筆の太いほう
を使っています。

20pt以上の文字や太線の文字は太字用の鉄筆とテーパレス鉄筆を併用します。

◆実践編~ガリ版で文字を印刷しよう!~◆
①ゴシック体
ゴシック体を彫るときは方Bまたは方Cの鉄やすりを使います。
名前の最初に「方」の字が入っているヤスリは表面に溝がタテヨコに刻まれています。(下図参照)
直線を溝に沿ってまっすぐに彫ることが出来るので、ゴシック体にぴったりのヤスリです。

鉄やすりの上に方眼ロウ原紙を貼り付けます。
溝と平行垂直にマス目が合うように貼り付けましょう。

カタカナを彫ってみましょう。
アイウエオとマス目にきれいにおさまるようにバランスよく彫ります。
溝に沿って、タテヨコの線はすっとキレイにひけると思います。
ナナメの線は少し難しいですが、ゆっくりと焦らずにひきましょう。

②明朝体
明朝体で使用するヤスリはXBかXCです。
名前の最初に「X」が入ったヤスリは斜めに溝が刻まれています。(下図参照)

彫り始めは打ち込みを入れます。下図の○の箇所に打ち込みをします。

ヤスリの溝を少し外れた角度で線を彫ると、細く繊細な線を彫ることができます。
これを打ち込みとして利用します。
では早速彫ってみましょう。
カタカナの「ア」を彫ってみます。
まずは打ち込みから横線を彫ります。

次に斜め下から線を彫ります。
角の部分を太くして抑揚をつけたいので、終わりの部分は小さくUターンします。

横線を彫るのが難しく、ゆがみやすいので力を入れすぎず急がず彫りましょう。
練習を重ねることで段々きれいに彫れるようになりますので、あきらめず気長に取り組みましょう。
◆印刷してみよう!◆
文字の印刷、とくに小文字は擦れやすいのでスクリーンを使用しないことが多いです。
インクをローラーにつけ、一気に刷ります。
ローラーの幅は彫った文章がすっぽりおさまるものを選びましょう。
出来ました!


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