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ガリ版印刷物-自分名刺

ガリ版実験~たくさん印刷するときのコツ~

ガリ版は印刷版が紙なので、木版や銅版画と違い、たくさん印刷するにはコツが必要です。
私は多くの失敗を重ねてきました。

1番多いのは途中で紙が破れてしまうこと。また、印刷版に傷が入ってしまい、意図していないところに微細な点や線が印刷されてしまうこと。(これは技法上、ある程度どうしても発生してしまうものですが・・・)

失敗から学んだ印刷のコツを紹介します!

◆コツ① 下絵作成◆

下絵を作成する際、破れやすい図案は避けるようにします。

 

破れにくい図案→文字、曲線、短い直線、4c㎡以内の面

破れやすい図案→4c㎡以上の面、長い直線

とくに、広い面は破れやすいです。また線のみでも四角形など直線で囲まれた形は、その形に紙が切れてしまい抜け落ちてしまうことも。
初心者の方は破れにくい図案を選んで、下絵を作りましょう。

◆コツ②繊維の流れに気をつける◆

印刷版をつくるときは繊維の方向に注意します。
印刷版を作る方法は「ガリ版の基本」をご覧ください。
ガリ版で印刷版として利用するロウ原紙は和紙を蝋でコーティングしたものです。和紙には繊維の流れがあり、縦か横に流れています。
販売ロウ原紙
ロウ原紙
繊維の方向を確認する方法は光に透かしてみるか、少し破ってみるか、です。縦・横に破ってみて、破れやすい方向が繊維の方向です。

印刷版を作るときは繊維と直線が垂直・平行にならないようにします。

直線がない図案の場合は考える必要がないのですが、文字を印刷するときはよく考えなければいけません。

◆悪い例◆

ガリ版工程-文字印刷
文字の横線と繊維の方向が平行になっています。このように版を作ると破れやすいです。

◆良い例◆

ガリ版工程-文字印刷
繊維の方向を斜めにずらしています。このように横線・縦線・繊維の方向が重ならないようにすると破れにくい版になります。

◆コツ③紙に印刷するとき◆

紙をたくさん印刷するときは、印刷器にスクリーンをつけます。
ガリ版道具謄写機
スクリーン無しのほうがインクが少なくて済むのですが、たくさん印刷するときは印刷版を保護するためにつけます。
ローラーをかける方向は繊維と同じ方向です。
ガリ版工程-文字印刷
紙の印刷はデザインにもよりますが、~500枚くらいは可能です。

◆コツ④布を印刷するとき◆

布の印刷にはスクリーンが使えません。スクリーンがあるとかすれてキレイに印刷ができないためです。

また強く圧力をかけてローラーをかけるためあまりたくさんの枚数印刷は出来ません。

インクを多めにローラーにつけることで、力加減を少し弱くすることはできます。インクは多目にバットにだしておきましょう!
自分で印刷tシャツ
デザインによりますが布の印刷は~150枚くらいが限界です。
紙・布ともに0~5枚目はかすれるので本番の素材は使わずに捨ててしまいます。

素材別印刷のコツは「紙・布・木への印刷実験」により詳しく書いていますので、興味のある方はご覧ください。

◆コツ⑤熱中しすぎない!◆

最後のコツですが、とにかく冷静さを保つことが大切です。

たくさん印刷していると、途中から過度に集中してしまうことがあります。

スピードをあげてどんどん刷っていると、印刷版の弱りに気づかず、印刷面の汚れやクオリティの低下に後で気がつくことになってしまいます。

少なくとも10枚ごとに印刷面に問題が発生していないか確認しましょう。
以上、たくさん印刷するときのコツでした!
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